子どもが頭をぶつけたとき、どうしたらよいか?

子どもが頭をぶつける場面は、育児の中で一度は経験する方が多いと思います。特に、歩き始めたばかりの赤ちゃんや、活発に動き回る2〜3歳頃の幼児は、転倒や衝突の頻度が増える時期です。公園や保育園、家の中など、どんな場所でも起こり得る事故ですが、「泣いてるけど大丈夫?」「ぶつけたあとに寝かせていいのかな」「様子を見ていいのか、病院に行くべきか分からない」と不安になることも多いのではないでしょうか。
この記事では、札幌市厚別区大谷地の小児科「大谷地のびやか子どもクリニック」より、お子さんが頭をぶつけたときのご家庭での対応や受診の目安、様子を見る際のポイントなどを、わかりやすくご紹介します。
なぜ「頭をぶつけた」は注意が必要なのか?
頭は脳という大切な器官を守っている部分です。特に小さな子どもは頭の比重が大きく、バランスを崩しやすいため、転倒すると真っ先に頭を打つことがよくあります。
ただ、外から見えるたんこぶや出血の有無だけでは、脳への影響があるかどうかは判断できません。特に「一見元気そうでも、数時間後に症状が出てくることがある」ため、事故のあとはしばらくの間しっかりと観察する必要があります。
ご家庭でまず確認してほしいポイント
頭をぶつけた直後は驚いて泣くことが多いですが、泣いたあとの様子がとても大事です。次のような点に注目して、お子さんの様子を見てあげてください。
- 呼びかけにきちんと反応しているか(意識があるか)
- 顔色は普段と変わりないか(青白くないか)
- 吐いていないか、または繰り返し吐いていないか
- 手足の動きに左右差や違和感がないか
- けいれんのような動きが見られないか
- 話し方や行動にいつもと違うところがないか
- 頭にたんこぶや出血があるかどうか
また、ぶつけた状況についてもできるだけ詳しく把握しておきましょう。
例:
・どこで(フローリング?コンクリート?)
・どのくらいの高さから(ソファの上?抱っこ中?)
・ぶつけた直後の反応(すぐ泣いた?ぼーっとしてた?)
これらの情報は、受診時に医師へ伝えるうえでとても役立ちます。
どの病院を受診したらよいか
頭部外傷は、専門とする診療科は脳神経外科となり、重症度が高く、頭部CT、頭部X線写真の撮像などが必要な場合は小児科のクリニックでの対応が難しい場合があります。
以下のような症状を示す場合は脳神経外科の受診や、場合によっては救急搬送もお勧めします。
- 意識を失った、またはぼーっとしている
- 繰り返し吐く(特に2回以上)
- けいれんを起こした
- 手足の動きがおかしい、ふらつく
- 顔色が悪く、ぐったりしている
- 出血が止まらない、傷が深い
- 目の動きが不自然、焦点が合っていない、瞳孔の左右差がある
- 頭を打ったあとにすぐ寝てしまい、起こしても反応が鈍い
- たんこぶが急に大きくなってきた、硬くて強い痛みがある
- 上記がなくても、交通事故など、高エネルギー外傷が疑われる
これらの症状がある場合、頭の中で出血や腫れが起きている可能性も考えられます。あらかじめ頭部の画像検査が可能な施設の受診をお勧めします。
小児科を受診しても大丈夫?
家庭の屋内でのベッドなどからの転落(1mに満たない高さ)、転倒、または保育園の屋内での同様の事故で、上記のような重篤なサインがなければ、小児科での診察のみで対応可能な場合もあります。また、診察のうえ、必要に応じて二次医療機関に紹介させていただく場合もあります。
夜間や休日など、すぐに病院を受診できないときは、「#8000(小児救急電話相談)」の利用がおすすめです。看護師や医師が症状を聞いたうえで、受診の必要性やご家庭での注意点についてアドバイスしてくれます。
様子を見てよい場合と自宅でのケア
反対に、以下のような場合は、しばらくご家庭で様子を見ながら対応していただくこともできます。
- ぶつけたあとすぐに大きな声で泣いた
- その後、いつも通り遊んだり話したりしている
- 吐いていない
- 意識がはっきりしている
- 食事や水分がとれている
- 傷がなく、小さなたんこぶ程度
このような場合でも、最低でも24時間は体調の変化に注意して見守ってあげてください。特に就寝後は、呼吸の様子や顔色をときどき確認しておくと安心です。また、このような場合でも、保護者の方が不安を感じていれば小児科受診は可能ですのでお気軽にご相談下さい。
たんこぶができたときは、冷やすと痛みや腫れを和らげることができます。保冷剤や氷をタオルで包み、1回10〜15分を目安に数回冷やすと効果的です。冷やしすぎには注意しましょう。
よくあるご質問
Q. 頭をぶつけたあと、すぐ寝てしまったけど大丈夫?
ぶつける前から眠たそうにしていた場合や、泣いたあとに落ち着いて寝ているようであれば、心配しすぎなくても大丈夫です。ただし、寝ている間も呼吸や顔色はチェックしてください。
Q. 次の日にたんこぶが大きくなった。問題ない?
たんこぶは内出血がゆっくり広がって大きくなることがあります。ただし、どんどん腫れてくる、強く痛がる、本人の元気がないなどの変化があれば、念のため受診しましょう。
Q. お風呂は入っていいの?
発熱やぐったりした様子がなく、出血もないようであれば、短時間の入浴は可能です。様子を見ながら、無理のない範囲で入れてあげてください。
まとめ
子どもが頭をぶつけると、保護者の方もとても不安になると思います。泣いたかどうかよりも、その後の様子に注目することが大切です。少しでも「いつもと違う」と感じたら、無理に判断せず、小児科に相談、もしくは脳神経外科を受診してみてください。
大谷地のびやか子どもクリニックでは、頭をぶつけたあとの経過観察や受診の判断に迷ったときのご相談も受け付けています。お子さんの安全とご家族の安心のために、どんな小さな不安でもお気軽にご連絡ください。