注射をしないフルミスト(経鼻インフルエンザワクチン)とは?|札幌市厚別区の小児科「大谷地のびやか子どもクリニック」が解説
札幌市厚別区の小児科「大谷地のびやか子どもクリニック」院長の藤本隆憲です。
お子さまのインフルエンザワクチン接種で、注射の痛みを怖がってしまうことに心を痛めている保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
近年、注射を使わずに鼻にスプレーする「フルミスト(経鼻インフルエンザワクチン)」が、お子さまの負担が少ない新しい選択肢として注目されています。フルミストは2023年に日本国内で承認され、2024年から医療機関での導入が進められています。
当院では、このフルミストによるインフルエンザワクチン接種に対応しています。フルミストの効果、日本国内での正確な対象年齢、接種回数、そして副反応や注意点について、保護者の皆さまが安心して理解できるよう詳しく解説いたします。お子さまが健やかに冬を過ごせるよう、予防接種に関する正しい情報をお届けします。
フルミストとは?
フルミストは、注射をせずに鼻に直接スプレーして接種するタイプの経鼻インフルエンザワクチンです。弱毒化された生インフルエンザウイルスを用いる「生ワクチン」に分類され、鼻腔内に噴霧することで免疫をつけます。鼻やのどの粘膜に直接作用するため、自然な感染に近い形で免疫を獲得できるのが大きな特徴です。
このワクチンの最大のメリットは、痛みがなく、わずか数秒で接種が完了する点です。注射を嫌がるお子さまや、針への恐怖心が強い方にとって、精神的・身体的負担が大幅に軽減されるため、安心して接種を受けやすい方法として期待されています。
フルミストの接種対象と年齢制限(日本国内の基準)
フルミストの接種対象は、日本国内においては2歳以上19歳未満(18歳11ヶ月まで)の方とされています。2歳未満のお子さま、および19歳以上の方は、原則としてフルミストを接種することができませんのでご注意ください。
特に、日本小児科学会の見解では、2歳以上19歳未満のお子さまや若い方については、注射による不活化インフルエンザワクチンと経鼻ワクチンのいずれを選んでも同等に推奨されています。
ただし、以下のような方はフルミストの接種対象外となる、または接種に注意が必要です。
重度の喘息をお持ちの方や、喘鳴の症状を呈する方
喘息の悪化リスクがあるため注意が必要です。日本小児科学会は、喘息をお持ちの方には不活化インフルエンザワクチン(注射)の使用を推奨しています。当院では、過去1年以内に喘息発作を起こしていない方には接種可能としていますが、発作歴がある方には不活化ワクチンを推奨しています。個々のお子さまの状態を慎重に診察し、接種の可否を判断いたしますので、必ず当院にご相談ください。
免疫抑制状態にある方(治療中の方を含む)
免疫機能が著しく低下している方、または免疫力が低下している方と同居している場合は、注射の不活化ワクチンが望ましいとされています。
アスピリンまたはその類似薬を長期服用している方
ライ症候群という重篤な病気を発症する可能性があるため、接種できません。
過去にゼラチン・卵などで重いアレルギー反応(アナフィラキシーなど)を起こした方
フルミストには安定剤として精製ゼラチンが含まれるため、ゼラチンアレルギーのある方は接種に注意が必要です。卵アレルギーの場合、軽度であれば接種可能な場合もありますが、重度の場合は当院にご相談ください。
発熱している方や体調がすぐれない方
調が不安定なときに接種すると、副反応が強く出たり正しい免疫がつきにくくなる可能性があります。熱や不調が治ってからの接種をおすすめします。
妊娠中の方
胎児への影響を考慮し、生ワクチンであるフルミストの接種はできません。接種前1ヶ月間は避妊し、接種後も約2ヶ月間は妊娠を避ける必要があります。
その他、接種を不適当と判断した方。
持病や服薬の内容によっては安全性に配慮し、接種を見合わせる場合があります。診察時に医師が総合的に判断します。
これらの条件に該当する可能性がある場合は、必ず事前に大谷地のびやか子どもクリニックにご相談ください。
フルミストの接種回数・時期
フルミストは、1シーズンに1回接種で済む場合が多いのが特徴です。これは、12歳以下(13歳未満)のお子さまの場合に2回接種が必要となる注射型のインフルエンザワクチンと比較して、接種回数が少ないという大きなメリットがあります。
インフルエンザは例年10月以降から流行し始め、1月から2月にピークを迎えることが多いため、流行期に入る前の10月、11月頃に接種を済ませておくことが推奨されます。ワクチンの効果は接種後約2週間で得られるとされています。
フルミストの効果と特徴
フルミストは、鼻の中に噴霧されることで、インフルエンザウイルスの自然な感染経路である鼻粘膜に直接免疫をつける仕組みです。これにより、感染防御効果が期待できると言われています(特に小児において)。発症予防に加え、感染してしまった場合の重症化予防にも効果を発揮します。
また、フルミストは生きたウイルスで免疫を作るため、流行しているインフルエンザの株がワクチン株と異なっても、発症を軽症化させる作用が期待できるという特徴もあります。ワクチンの効果は1年ほど持続するとされています。
フルミストの副反応と注意点
フルミストの副反応は、注射型ワクチンと同様に起こることがあります。主な症状としては、鼻汁・鼻づまり(最も多い)、くしゃみ、軽い発熱(38℃を超える発熱)、倦怠感、頭痛、咽頭痛、咳、筋肉痛、悪寒、食欲低下などが報告されています。投与直後のくしゃみや鼻漏れは正常な反応です。これらの症状の多くは軽度で、自然に改善することがほとんどです。まれに、喘息症状の悪化や発熱が強く出ることもあります。接種後に気になる症状があれば、速やかに当院までご連絡ください。
また、以下の点にご注意ください。
水平伝播(すいへいでんぱ)のリスク
フルミストを接種したお子さまは、鼻咽頭分泌物中にワクチンウイルスを最長3~4週間排出する可能性があります。そのため、接種後1~2週間は、重度の免疫不全者との密接な接触を可能な限り避けることが必要です。周囲に免疫力が低下しているご家族がいる場合は、注射による不活化ワクチンの方が望ましいとされています。
抗インフルエンザ薬の使用
抗インフルエンザ薬をフルミスト接種前48時間(薬剤によっては5日間、または17日間)以内に使用した場合は、ワクチンの効果が落ちる可能性があります。また、フルミスト接種後2週間は抗インフルエンザ薬の投与によって効果が落ちる可能性があるため、注意が必要です。
インフルエンザ検査
フルミスト接種後、2週から最大4週間は、インフルエンザに罹患していなくても検査が陽性になる可能性があります。
これらの注意点については、医師による事前診察で詳しく確認し、ご理解いただくことが重要です。
当院でのフルミスト接種について
札幌市厚別区の小児科「大谷地のびやか子どもクリニック」では、お子さまが安心して予防接種を受けられるよう、様々な配慮をしております。
一般の感染症患者さんとの接触を避けるため、予防接種専用時間(火・金曜日の14:00~15:00)を設けております。この時間帯を利用して、お子さまを感染リスクから守りながら、落ち着いて接種を受けていただけます。
フルミストは在庫に限りがあり、完全予約制です。
予約方法は電話のみ(ワクチン専用ダイヤル:070-9017-7250)での受付となります。
WEB予約は行っておりませんので、ご注意ください。
・接種可能日時:土曜 12:30/13:00 のみ
・接種開始日:2024年10月4日(土)予定
・料金:1回 8,500円(税込)
・対象年齢:2歳〜18歳(この年齢以外の接種はできません)
札幌市厚別区の小児科として、お子さまと保護者の方の安心を第一に考え、丁寧な対応を心がけております。接種をご希望の方は、お早めにお電話でご予約ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. フルミストは注射より効果が弱いのですか?
A. 効果は注射型と同等とされています。特に小児では自然感染に近い免疫がつくため、高い予防効果が期待できます。
Q2. 卵アレルギーがありますが接種できますか?
A. 軽度の卵アレルギーであれば接種可能な場合もあります。ただし、重度の場合は接種できないことがありますので、必ず医師にご相談ください。
Q4. 接種後に風邪をひいたような症状が出ました。大丈夫ですか?
A. 鼻水や軽い発熱などの副反応はよくある症状で、多くは自然に改善します。ただし強い発熱や喘息症状が悪化した場合は、速やかに当院へご連絡ください。
当院へのアクセス
大谷地のびやか子どもクリニックは、札幌市厚別区大谷地にあります。
地下鉄東西線「大谷地駅」に直結しており、5番出口から直接ビル内に入っていただけます。悪天候の日でも、濡れることなくスムーズにお越しいただけます。
また、お車でお越しの保護者の方のために、屋上には20台分の駐車場も完備しており、通院に大変便利です。
厚別区大谷地にお住まいの方はもちろん、清田区、白石区、豊平区、江別市、北広島市など、近隣地域からも多くの患者さまにご来院いただいております。札幌市厚別区で小児科をお探しの際は、ぜひ当クリニックをご利用ください。
まとめ
フルミスト(経鼻インフルエンザワクチン)は、注射が苦手なお子さまにとって、痛みがなく短時間で接種できる有効な選択肢です。日本国内での正確な対象年齢は2歳以上19歳未満であり、効果や副反応、注意点を正しく理解した上で接種を検討することが大切です。
大谷地のびやか子どもクリニックは、小児科専門医として、お子さまと保護者の皆さまの不安に寄り添い、丁寧な説明と安全な医療を提供いたします。予防接種(ワクチン)専用時間を設け、感染症対策にも力を入れておりますので、フルミストに関するご質問やインフルエンザワクチン接種をお考えの際は、札幌市厚別区の小児科「大谷地のびやか子どもクリニック」へお気軽にご相談ください。