風邪症状
咳、鼻水、鼻づまり、のどの痛みといった症状は、発熱を伴う場合も伴わない場合もあります。原因の多くはウイルスで、多くは自然に治りますが、気管支炎や肺炎へ進行することもあるため、症状や熱の経過をしっかり見守りながら、必要に応じて適切な検査を行います。風邪かと思っていたら、アレルギー性鼻炎や喘息が隠れている場合もあります。かかりつけ医として、お子さまを長く診ていくことで気づけることが多いと考えています。
発熱
お子さまの発熱は37.5℃以上を目安にし、それ以下なら多くは心配不要です。多くの発熱は感染などに伴う免疫反応の一環ですが、外気温など外的要因の影響も受けます。解熱剤は38℃を超えた際に機嫌や食欲を見ながら活用しましょう。幼稚園・保育園の通い始めは体調を崩しやすいですが、熱の高さよりお子さまの様子が重要な場合もあります。園から発熱で呼ばれた等、急な発症も多いかと思いますが、お気軽にご相談いただければと思います。生後3ヶ月以内、特に1ヶ月以内の発熱は緊急対応が必要なので、すぐに医療機関へ相談してください。
咳(せき)
お子さまの咳は、気道に異常があることを知らせる重要なサインです。咳の原因はさまざまですが、多くはウイルス感染による風邪からくるものです。発熱が数日続いて咳などの症状が改善しない場合、気管支炎や肺炎の可能性があります。一方で、長引く乾いた咳や運動後に悪化する咳は、喘息やアレルギーが関係している場合もあります。
嘔吐
嘔吐は多くの場合、感染性胃腸炎の症状です。吐いた後に機嫌が良く、水分が摂取できれば心配不要で、半日から1日程度で治まることが多いです。普段と同じ水分量を一気に与えてしまうと嘔吐を誘発することが多いため、まずはスプーン1杯の経口補水液を与え、5~15分ごとに少しずつ増やしてください。水分補給後2時間嘔吐がなければゼリーなどを試しましょう。脱水を防ぐことが最優先で、おしっこの回数が減った場合は早めに受診してください。
腹痛
腹痛の原因は多岐にわたり、便秘や感染性胃腸炎から、腸重積・虫垂炎など緊急対応が必要な場合もあります。特に便秘はよく見られる原因の一つで、顔色が悪くなったり、強い痛みでうずくまるような状態になるお子さまもいます。小さな赤ちゃんは言葉で伝えられないため、判断が難しいことがあります。嘔吐や下痢を伴う場合は複合的に原因を考える必要があり、気になる場合はご相談ください。特に便に血が混じる場合は注意が必要です。
下痢
嘔吐と同じく、感染性の胃腸炎の症状であることが多いですが、それ以外の病気の初期症状の場合もあります。いつから始まったのか、1日に何回程度なのか、量や色、血液や粘液が混じっていないかなど、便の状態を観察してみてください。便(おむつ)を直接お持ちいただくか(ノロ、ロタ等の迅速検査に使用できる場合があります)、気にはなっても持参が難しい場合は写真を撮っておくこともおすすめします。また、水分をどの程度摂取できているかも重要な情報です。おしっこの量や回数が著しく減っている、目が落ちくぼんでいる、お口の中が乾燥しているといった症状がある場合は、脱水が疑われますので急いで受診してください。
便秘
便秘はお子さまの腹痛の主な原因の一つで、強い痛みや顔色の悪化、嘔吐を伴うこともあります。特におへそ周辺の痛みは便秘を疑うサインです。毎日排便があっても硬い便を無理に出している場合は便秘と考えられます。お腹の張りを確認し、必要に応じて浣腸で便の状態を確認することもあります。食事の見直しが重要ですが、改善が難しい場合はお薬を使うことも。お薬は便秘そのものを治すものではなく、良い排便習慣を整えるために使用します。自己判断で中断せず、良い排便習慣を整えるために気長に治療を続けることが大切です。
熱性痙攣(けいれん)
熱性けいれんは1~2歳に多く、5歳頃までに治まることがほとんどです。高熱時に突然けいれんを起こし、驚く親御さんも多いですが、多くは1分~数分で収まり、後遺症も残りません。収まってからの病院受診で間に合う事が大半です。ただし、5~10分以上続く場合や意識が戻らない場合は救急要請も検討してください。発生時は吐いてしまうことがあり、のどを詰まらせると危険ですので、顔を横にして、頭を低くしてください。落ち着いて対応しながら、けいれんの様子や時間を記録しておくと、医師が適切に診断する助けとなります。繰り返しけいれんを起こすお子さまや、けいれんの起こり方に特徴がある場合には、必要に応じて検査を行い、適切な対応を検討します。
蕁麻疹(じんましん)
皮膚に突然赤い腫れや強いかゆみを伴う発疹が現れる症状です。多くは数時間から1日程度で治まりますが、再発することもあります。原因は多岐にわたりますが、風邪や体調の変化に伴い起こるなど、特に食べ物などの原因が特定されない場合が多いです。
発疹
発疹は、お子さまの肌に現れる赤い斑点やブツブツとした症状で、さまざまな原因によって引き起こされます。発疹の形や広がり方、かゆみや痛みの有無などによって、原因を特定するための手がかりになります。発疹の主な原因には、ウイルスや細菌による感染症(手足口病、突発性発疹、麻疹など)、アレルギー反応(食物アレルギーや薬物アレルギー)、また湿疹、アトピー性皮膚炎やとびひといった皮膚疾患などがあります。発疹に伴って高熱や呼吸の変化、元気のなさが見られる場合には、早めに受診することが重要です。
湿疹
湿疹は、多くの親御さんがお子さまの肌で悩まれる症状の一つです。赤みや炎症、ブツブツが見られ、引っ掻き痕がある場合には、保湿に加えてステロイド軟膏などを適切に使用し、炎症をコントロールする必要があります。湿疹の状態に応じて軟膏の種類や剤型を選び、正しい塗り方をご説明いたしますので、安心してご相談ください。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、強いかゆみを伴う湿疹が慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す疾患です。皮膚のバリア機能が低下し、乾燥や刺激に反応しやすいため、適切なスキンケアが重要です。特に乳児期はアレルギー予防のためにも保湿をしっかり行いましょう。治療にはステロイドを含む軟膏が有効で、新しいタイプの軟膏も使用可能です。気になることがあればご相談ください。
夜尿症(おねしょ)
5歳を過ぎても月1回以上の夜のおもらしが3か月以上続く場合、夜尿症と呼びます。小学校低学年で約10%、10歳以上でも5%ほどみられます。まず、夜尿の原因となる病気がないかを確認し、どのタイプの夜尿症であるかを判断することが重要です。生活習慣の見直しを優先し、尿の量や夜間の排尿状況を検査して治療方針を決めます。治療では「起こさない・怒らない・比べない・焦らない」が大切です。成功した時はしっかり褒め、お子さまの意欲を引き出しましょう。
異物誤飲
食事中や遊んでいる最中に突然始まった咳は、異物が気道に入った可能性があるため、速やかな診察が必要です。かかりつけ医として、お子さまの咳の原因を丁寧に診断し、必要な治療や検査をご提案します。ご家庭では、咳がひどくなったり、呼吸が苦しそうに見える場合には、早めにご相談ください。