子どもがお薬を嫌がるとき、どうすればいいのでしょうか?

お子さまに薬を飲ませることが難しい――そんな経験をお持ちの保護者の方は多いのではないでしょうか。
この記事では、小児科の視点から、子どもがお薬を嫌がるときの対応法や、薬の飲ませ方の工夫、注意すべきポイントについて、厚別区の小児科「大谷地のびやか子どもクリニック」よりわかりやすくお伝えします。
なぜ子どもは薬を嫌がるの?
たいていのお子さん向けのお薬は、甘い味に調整されていますが、口の中に入れている時間が長いと、本来のお薬の成分の苦さが出る場合があります。また、子どもの味覚は非常に敏感で、味蕾の数も成人の3倍あるとも言われ、大人が気にならない微妙な味を気にしている場合も考えられます。また、「薬=まずい」「無理やり飲まされる」という記憶があると、それだけで拒否反応が強まってしまうことも考えられます。
特に以下のような状況では、薬を嫌がる傾向が強くなります。
・味やにおいに敏感なタイプのお子さま
・体調が悪く食欲がないとき
・以前の服薬で嫌な思いをした経験がある場合
お薬を飲ませるための工夫
お子さまの年齢や性格、状況に合わせて、以下のような工夫を試してみてください。
粉薬の工夫
- 薬を少量の水でペースト状にし、舌の上を避けて頬の内側や上あごに塗ると、苦味が気になりにくくなります。
- 少量の水で溶かし、スプーンやスポイトで素早く口に入れると、一気に飲みきれやすくなります。
- 服薬補助ゼリー(市販)を使うと、薬を包み込むことで味や口当たりがやわらぎます。
食品に混ぜる方法(※事前に確認を)
- チョコレートアイスやプリン、ミルクココアなどに混ぜると、甘さととろみで苦味を感じにくくなります。
- 酸味のある食品(リンゴジュース・オレンジジュース・ヨーグルトなど)はお薬の種類によっては苦味が際立つことがあります。
※混ぜてよい食品は薬によって異なります。必ず事前に薬剤師または医師にご相談ください。
飲ませるタイミング
- お子さまの機嫌がよく、リラックスしているときに試すと成功しやすくなります。
- 空腹時や食前の方が、抵抗なく受け入れられることもあります。(※たいていのお薬は食後内服指定ですが、食前でも問題ない場合も多いので、ご相談ください。)
お子さまの気持ちに寄り添った対応を
薬を嫌がるときに大切なのは、無理に飲ませないことと、安心できる声かけです。
- 「がんばったね!」としっかり褒めることで、成功体験を積ませましょう。
- 「お薬を飲んだら早く元気になれるよ」など前向きな言葉がけをしましょう。
- 薬の必要性をわかりやすく説明し、お子さま自身が納得できるようにしましょう。
- 飲めなかったときは、少し時間を置いてから再チャレンジすると成功率が上がります。
ご家庭での注意点
- 食品に混ぜる場合は、薬の種類によって可否があるため必ず薬剤師に相談をしてください。
- 混ぜた薬は作り置きせず、すぐに飲ませてください。
- 1歳未満のお子さまにはハチミツを使わないようにしましょう(乳児ボツリヌス症のリスクがあります)。
最後に|焦らず、その子に合った方法を見つけていきましょう
子どもが薬を嫌がるのは、ごく自然な反応です。一度でうまくいかなくても大丈夫。少しずつ、その子に合った方法を見つけていくことが大切です。
「なかなか飲んでくれない」「いつも泣いてしまって困っている」など、薬の飲ませ方に関するご相談も、当院では日常的にお受けしています。
お困りのときは、どうぞお気軽にご相談ください。厚別区大谷地の地域の小児科として、育児の一つひとつに寄り添いながらお手伝いしてまいります。